月夜のボタン
2011年 10月 17日
詩人、中原中也の作品に「月夜の浜辺」というものがある。
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に 落ちてゐた。
という書き出しのヤツ。
そして、このブログを書いていると、ふと高校の教科書に載っていた
その詩を思い出すことがある。
「きょうは何を書こうかな?」と頭の中をひっくり返し、
出てくるのは、お金になるでもない、
音楽や映画、本にまつわる記憶の断片。
それを拾って、役立てようと
僕は思ったわけでもないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂に入れた。
「私の記憶って、まさしくこんな風に、
役立てようと思わずに、拾い集めたものだよなあ」と。
そして、役に立たない記憶の断片を一つひとつ眺めるたびに、
中也の詩の最後のフレーズに納得する。
月夜の晩に 拾ったボタンは
指先に沁み、心に沁みた。
月夜の晩に、拾ったボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?
なんか、中也とは関係ないけど、ボタンつながりで、
久しぶりにマニー・マークの「Push the Button」が聴きたくなった。
写真:中目黒にあるボタン専門店。
本当にいろんな種類のボタンがあるのだなと、驚かされる。
by megumi_mh
| 2011-10-17 21:16
| 音楽